足部の骨端症(Sever病、ケーラー病、Freiberg病、Iselin病)SYMPTOMS
足部の骨端症(Sever病、ケーラー病、Freiberg病、Iselin病)とはそくぶのこったんしょう
この疾患の主な症状
骨端症は子供特有の疾患です。成長途上の身体にスポーツ活動などを通して、日常生活より強い負荷や反復回数の多い負荷が加わることで、成長軟骨の脆弱な箇所に損傷がおこります。その疾患を総称して骨端症と言います。足部に限らず、オスグッド病などを代表する全身に起こり得る疾患です。
原因と病態
Sever病(セーバー病)
踵骨隆起の骨端症です。学童期のスポーツ選手に多く、10歳前後の男児に好発します。
アキレス腱と足底腱膜の牽引力による微小な外傷が原因と考えられています。
第1ケーラー病
舟状骨の無腐性壊死で、3~7歳ころの小児に発症します。女児よりも男児に好発します。原因は不明です。
Freiberg病(フライバーグ病)
中足骨頭に無腐性壊死を起こす骨端症です。10歳台の女子に好発し、罹患部位は第2中足骨が最も多く、第3、第4の順に頻度が高いです。詳細な原因は不明ですが、繰り返される微小外傷や中足骨への過負荷によって骨頭の血流障害が起こることが原因と考えられています。
Iselin病(イセリン病)
第5中足骨基部粗面の骨端症です。10歳前後で発症しやすいです。短腓骨筋腱の牽引力による微小外傷が繰り返されることで発生すると考えられています。ジャンプやピボット動作が繰り返されるスポーツ選手に多く見られます。
診断
Sever病(セーバー病)
運動時に踵部痛を訴え、同部位に圧痛を認めます。単純X線像では骨端核の分節化や扁平化、骨端線の不整像などがみられます。健側との比較が大切です。MRIで診断がつくこともあります。
第1ケーラー病
初発症状としては、舟状骨に一致した圧痛や軽度の腫脹を認めます。受傷機転は、はっきりしないが、足を引きずっているなどのエピソードが多いです。単純X線像でも初期には不明瞭なことが多く、疼痛が続いている間は慎重な経過観察が必要となる疾患です。小児期には難しい検査ですが、CTやMRIが必要となることもあります。
Freiberg病(フライバーグ病)
初発時にはMTP関節を中心とした腫脹を認め、踏み返し動作での疼痛を訴えます。多くは単純X線像で診断可能ですが、初期段階ではMRIでないと分からないこともあります。
Iselin病(イセリン病)
同部位に圧痛を認めます。足関節を回外することで疼痛が誘発されます。
単純X線像では骨端核の不整像や分節化を認めますが、健側との比較が重要です。
外傷を契機に疼痛が出現している場合は骨折が隠れている可能性もありますので、注意が必要です。そのため触診やエコー検査も有用となります。
予防と治療
Sever病(セーバー病)
保存加療で治癒が可能な疾患です。運動の制限、中止、足底板でのヒールアップなどが効果的ですが、アキレス腱のストレッチも重要です。
第1ケーラー病
疼痛の状態に応じて、疼痛が著明な場合はギプスでの免荷(体重をかけいない)治療を行うことがあります。足底板などを作成して、疼痛軽減するまで最長2-3年にわたり、外来での経過観察が必要となることもあります。長期間にわたり疼痛が継続する場合は感染や癒合症などが隠れていないか確認する必要があります。
Freiberg病(フライバーグ病)
関節軟骨が保たれている初期段階では、保存療法を行います。疼痛のある動作の制限や足底板などの使用により局所の安静を図ります。ただし保存治療に抵抗する症例や進行例で早期のスポーツ復帰を希望される方については手術の選択肢についても説明させていただきます。
Iselin病(イセリン病)
疼痛の程度に応じて、運動制限~ギプス固定まで保存的に経過観察していきます。疼痛が継続する場合は、まれに手術が必要となることもあります。
引用元: 整・災外65,1327-1332.2022「足部の骨端症(Sever病、ケーラー病、Freiberg病、Iselin病)」
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