仙腸関節障害SYMPTOMS

仙腸関節障害とはせんちょうかんせつしょうがい

この疾患の主な症状

仙腸関節由来の疼痛は、上後腸骨棘付近の要臀部だけでなく、鼠径部や下肢にまで広がります。仙腸関節の微小なずれに伴う機能障害が原因であるため、運動時に疼痛が出現する腰椎由来の疼痛とは異なり、①仰臥位に寝るのが困難、②椅子に腰かける座位がつらい、③患側を下にした側臥位で疼痛が出現するなどの特徴的な症状を認めることがあります。

原因と病態

仙腸関節の微小なずれにより、後方靭帯の部分的過緊張により知覚神経終末、侵害受容器への刺激から疼痛が出現することが分かっています。そこに歩行不足が加わると、脊椎アライメントが自動修復されない状態になると言われています。骨盤は立つと閉じる力が働き、座ると開く力が生じます。長時間のデスクワーク、特に脚を組んだ座位になるとさらに歪みの負荷が骨盤に加わります。①仙腸関節障害、②感染性、③炎症性、④変形性関節症、⑤代謝性、⑥腫瘍性、⑦外傷性などに分類されます。また腰椎症例の23%に仙腸関節障害が合併していたとする報告もあり、腰椎疾患と仙腸関節障害の合併例は少なくありません。

診断

特徴的な圧痛点を上後腸骨棘など仙腸関節周辺に認めます。腰椎椎間板ヘルニアでもみられる下肢伸展挙上テストでも疼痛が誘発されます。その他Gaenslenテスト(患側の股関節を伸展させると疼痛が誘発される)やPatrick test(患側の股関節を外転・外旋させることで仙腸関節部に疼痛が誘発される)などがあります。画像検査はMRI、CTなどでは異常所見が出ないことが多いです。最終的には仙腸関節ブロックで確定診断を行います。

予防と治療

長時間同一作業は避ける、中腰姿勢や動作時に気を抜かない(インナーマッスルを常に意識する)、身体を冷やさない、疲れをためない、開脚上下体操、歩行を積極的に行います。

骨盤ゴムベルト

腸骨稜より下方に装着することで効果が期待できます。

バランスボール

腹横筋などインナーマッスルの強化に有効とされています。

フレックスクッション

座面が前方にむけて20度傾斜しているのが特徴で、骨盤の後継を予防します。

治療

内服や装具、運動療法、ブロック注射などの保存加療でほとんどの方がよくなります。ただし保存加療に抵抗する場合は、適応を慎重に確認して手術加療が行われることもあります。

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