足の親指が痛い……原因は「痛風」だけではありません
「足の親指が急に痛くなったので、痛風でしょうか?」
「親指の付け根が腫れて、靴を履くと痛みます」
足の親指の痛みで受診される患者さんから、よく聞かれる言葉です。
足の親指の付け根は、痛風発作が起こりやすい場所です。しかし、同じような場所に痛みがあっても、原因が必ずしも痛風とは限りません。
外反母趾、強剛母趾、種子骨障害、スポーツによる関節や靱帯の損傷など、さまざまな病気や障害が考えられます。
痛風では、親指が急に赤く腫れることがあります
痛風では、足の親指の付け根が急に赤く腫れ、強い痛みが生じることがあります。
夜間から明け方に突然発症し、布団が触れるだけでも強く痛む場合があります。
一方、赤みや腫れ、熱感を伴う痛みは、感染性の関節炎などでもみられます。
「親指が赤く腫れたから痛風だろう」と自己判断せず、初めて症状が出た場合や、発熱、傷、体調不良を伴う場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
痛風以外に考えられる主な4つの原因
1.外反母趾
親指が第2趾の方向へ曲がり、付け根の内側が突出して痛む病気です。
突出した部分が靴に当たることで、赤みや腫れ、痛みが生じます。変形が目立たない段階でも、足の横幅が広がる開張足や、足のアーチの低下などが影響して痛む場合があります。
症状が進むと、親指だけでなく、第2趾の付け根や足裏に痛みやタコが生じることもあります。
このような症状が特徴です。
・親指が第2趾の方向へ曲がっている
・親指の付け根の内側が突出している
・突出した部分が靴に当たって痛い
・足裏や第2趾の付け根にタコや痛みがある
2.強剛母趾
親指の付け根の関節に変形が生じ、親指を上へ反らしにくくなる病気です。
歩くときの蹴り出しや、階段、しゃがみ込み、つま先立ちなどで痛みが出やすくなります。
進行すると関節の動きがさらに制限され、親指の付け根の上側に骨の出っ張りができて、靴に当たって痛むこともあります。
このような症状が特徴です。
・親指を上へ反らすと痛い
・親指の付け根が動かしにくい
・歩行時の蹴り出しで痛む
・つま先立ちやしゃがみ込みが難しい
・親指の付け根の上側が靴に当たって痛い
3.拇趾種子骨障害
親指の付け根の足裏側には、「種子骨」と呼ばれる小さな骨があります。
種子骨は、歩行時の蹴り出しや、親指に力を入れる動作を助ける役割を担っています。
ランニング、ジャンプ、長時間の歩行、硬い地面での運動などによって繰り返し負担がかかると、種子骨周囲の炎症や疲労骨折などが生じることがあります。
このような症状が特徴です。
・親指の付け根の足裏側が痛い
・親指側へ体重をかけると痛い
・つま先立ちや蹴り出しで痛む
・スポーツや長時間の歩行後に痛みが強くなる
・足裏から押すと強く痛む
4.スポーツによる関節や靱帯の損傷
スポーツ中に親指を強く反らした後から痛む場合は、親指の付け根にある関節や靱帯を損傷している可能性があります。
このような損傷は「ターフトゥ」と呼ばれる場合があり、ダッシュ、ジャンプ、急な方向転換、つまずきなどをきっかけに起こります。
軽い捻挫に見えても、関節周囲の靱帯や軟骨、種子骨などを損傷していることがあります。
このような症状が特徴です。
・スポーツ中に親指を強く反らした
・親指の付け根が腫れている
・内出血がみられる
・親指に力が入りにくい
・走る、踏ん張る、蹴り出す動作が難しい
痛む場所だけでは診断できません
足の親指の痛みは、症状の出方や痛む場所が似ていても、原因が異なることがあります。
診察では、次のような点を確認します。
・いつ、どのように痛みが始まったのか
・赤み、腫れ、熱感があるか
・親指のどの部分が痛むのか
・歩行や蹴り出しで痛みが出るか
・親指を反らしたときに痛むか
・靴を履いたときに痛むか
・親指や足全体に変形があるか
・スポーツや運動中に痛めたのか
・足のアーチや体重のかかり方に問題がないか
必要に応じて、レントゲン、超音波検査、血液検査、MRIなどを組み合わせて、痛みの原因を確認します。
尿酸値だけで痛風とは判断できません
血液検査で尿酸値が高いことは、痛風を考える手がかりの一つです。しかし、尿酸値が高いだけで、現在の痛みが痛風によるものとは限りません。
また、痛風発作の最中でも、尿酸値が必ず高くなるとは限りません。
血液検査の結果だけで判断せず、痛みの始まり方、腫れや熱感、診察所見、画像検査などを合わせて評価することが大切です。
治療は原因によって異なります
足の親指の痛みに対する治療は、原因によって異なります。
炎症や痛みを抑える治療だけでなく、症状に応じて、靴の見直し、足底板(インソール)、テーピング、足趾の運動療法、足のアーチや歩き方の改善などを行います。
外反母趾や強剛母趾では、親指だけを見るのではなく、足のアーチ、足趾の筋力、足首の動き、歩行時の体重のかかり方などを確認することも重要です。
このような症状は早めにご相談ください
・親指が急に赤く腫れて、強く痛む
・発熱や体調不良を伴う
・傷や化膿がある
・体重をかけて歩くことが難しい
・スポーツ中に親指を強く反らして痛めた
・親指が動かしにくくなってきた
・変形が進み、靴を履くことがつらい
・痛みが長く続いている
足の親指は、立つ、歩く、踏ん張る、蹴り出すといった動作で大切な役割を担っています。
「痛風だろう」「外反母趾だから仕方がない」と決めつけず、まずは何が痛みを引き起こしているのかを確認することが大切です。
整形外科たけなかクリニックでは、痛む場所や関節の動きだけでなく、足の形、足趾の筋力、足のアーチ、靴、歩き方、身体の使い方なども確認しながら、患者さんと一緒に原因を探していきます。
足の親指の痛みでお困りの方は、お気軽にご相談ください。